大豆を

つくる

国産大豆の課題

納豆、お豆腐、お味噌汁。 私たちの食卓に欠かせない大豆ですが、日本国内で作られているのは、消費量全体のごくわずか。その割合は、約6%〜7%しかありません。 「もっと日本で作ればいいのに」と思うかもしれませんが、実はそう簡単なことではないのです。
日本の大豆づくりは、海外とは異なる厳しい環境や、構造的な問題という「厚い壁」に阻まれています。 ここでは、国産大豆が抱える深刻な課題について、少し詳しく見ていきます。

「94%」の大豆はどこから?

日本で1年間に使われる大豆は、約350万〜390万トンにもなりますが、そのうち国産はわずか24万トン程度です。 残りの9割以上は、海外からの輸入に頼っています。

主な輸入相手国は、 アメリカ(約7割)、ブラジル、カナダなど。 これらの国々は、広大な土地で大型機械を使って効率よく生産できるため、価格が安く、安定して大量に供給することができます。

2024年、「大豆をめぐる事情(令和6年3月版)」(農林水産省)をもとにSOY Mag.編集部が作成

「油」と「食品」で違う自給率

実は、大豆の使い道によって自給率は大きく違います。

サラダ油などの原料(油糧用): ほぼ100%が輸入です。

豆腐・納豆・煮豆など(食品用): 国産の割合は約26%まで上がります。

私たちが直接食べる食品用では、国産大豆のおいしさや安全性が評価されていますが、それでも4回に3回は外国産を食べているのが現実です。

日本の大豆づくり「3つのハードル」

海外のようにたくさん作れないのには、日本特有の理由があります。

雨との戦い。「水田」で作る難しさ

アメリカやブラジルでは水はけの良い広大な「畑」で作られますが、日本では米を作るための「水田(田んぼ)」の水を抜いて、大豆畑として使うのが一般的です。 しかし、大豆は本来、湿気が苦手な作物。 日本の6月〜7月は「梅雨」があり、種まきの時期に大雨が降ると、水はけの悪い田んぼでは種が腐ったり、芽が出なかったりする「湿害(しつがい)」が起きやすくなります。 さらに、収穫時期の秋に「台風」や「長雨」が重なると、品質が悪くなったり、収穫できなくなったりするリスクとも隣り合わせなのです。

世界との差。「収穫量」の少なさ

日本の大豆栽培は、海外に比べて「同じ広さの畑から採れる量(単収)」が少ないのが悩みです。

アメリカ: 10アールあたり 約345kg

日本: 10アールあたり 約169kg

なんと、日本の収穫量はアメリカの約半分しかありません。 湿害の影響や、品種改良の歴史の違いなどが原因と言われていますが、収穫量が少ないということは、農家さんにとって「利益が出にくい(儲かりにくい)」ことにつながります。

人手不足と高齢化

日本の農業全体の問題ですが、大豆農家さんも高齢化が進んでいます。 「作りたくても、人手が足りない」「機械を動かせる人がいない」という理由で、大豆作りをあきらめてしまうケースも少なくありません。その結果、誰にも耕されない「耕作放棄地」が増えてしまっています。

もし、輸入がストップしたら?

「安くて安定した輸入大豆があるなら、無理に国産を増やさなくてもいいのでは?」
そう思うかもしれません。しかし、海外に頼りすぎることには大きなリスクがあります。

  • 気候変動のリスク

  • 海外の産地で大規模な干ばつや洪水が起これば、大豆が不作になり、価格が高騰したり、日本に入ってこなくなったりする可能性があります。

  • 世界情勢のリスク

  •  戦争やパンデミックなどで物流が止まれば、私たちの食卓から納豆や豆腐が消えてしまうかもしれません。

  • 「買い負け」のリスク

  • 世界中で大豆の需要(特に中国など)が増えているため、日本が欲しい量を買い付けられなくなる「買い負け」の懸念も出てきています。

    私たちにできること

    国産大豆の自給率が低いということは、単に「数字が低い」だけの問題ではありません。 私たちの食文化(和食)の土台が、実は非常に不安定なバランスの上に成り立っていることを意味しています。
    生産量を増やすためには、雨に強い畑づくりや、少ない人手でもたくさん収穫できる新しい技術が必要です。

    そして、国産大豆を増やすために、私たちができる一番簡単なこと。 それは、「国産大豆100%」と書かれたお豆腐や納豆、豆乳を選んで買うことです。 私たちが国産を選ぶことで、農家の方々を応援し、日本の大豆畑を未来に残すことにつながります。